お子さんから大人まで幅広い世代が悩むアトピー性皮膚炎。皮膚のバリア機能が弱く乾燥肌であるという皮膚の要素と、炎症が起こりやすいアレルギー体質、そこに環境の要因が刺激として加わることにより発症すると考えられています。湿疹が良くなったかと思うとまた悪くなったり、かゆみで日常生活に支障をきたすことも。当院にも毎日たくさんの患者様が来られます。
長年、アトピー性皮膚炎の治療の中心は保湿剤やステロイドなどの外用剤で、なかなかよくならない方は飲み薬や紫外線療法を組み合わせて治療してきました。炎症が起こるメカニズムやそれを引き起こす物質の研究が進められ、2018年に新しく注射薬が発売され、今までの治療では良くならなかった中等症〜重症の患者様の治療選択肢が広がったのです。
当院で導入可能な注射薬はデュピクセント、ミチーガ、アドトラーザの3種類です。これらは分子標的治療薬といわれ、いずれも皮膚の内部に起きている炎症反応(サイトカインの働き)を抑えることによって、かゆみや皮膚症状を大きく改善することが期待できる薬剤です。分子標的治療薬やサイトカインなど聞き慣れない言葉で難しいように聞こえますが、簡単にいうと、今までの外用剤は起こってしまった炎症を皮膚表面から抑えるのに対し、注射薬は炎症が起きるかなりはじめの部分(皮膚の深いところ)をピンポイントで抑えてくれるため、より高い効果が得られ、さらに副作用も少ないと考えられています。
注意点としては、この3種類の注射薬は医療保険が適用されますが、薬剤費が比較的高く治療費が高額になる場合があります。また注射薬が使用できるかどうかは今までの治療歴、皮膚症状等を総合的に診療した医師の判断になるため、誰もがすぐに受けることができるわけではありません。注射薬をご希望の方、話を聞いてみたい方は、今までの治療内容がわかるもの(お薬手帳など)をお持ちになり、一度診察にお越しください。
※注射を導入する方は初期は2週おきに通院する必要があります。当院の対応可能な曜日は月曜午後、火曜午前となります。
※マイナ保険証の方は、高額療養制度を利用する際に必要な限度額認定証は不要です(保険証の場合は役所で発行が必要)。